
最近気がついてびっくりしたことがいくつかありまして、ひとつは人生が思ったよりも長いということで、もう随分と生きてきたような気がするのですが、人生八十年の点から見れば、おそらくまだ人生の半分も生きていないわけでして、そう考えると焦眉の急と思っていた所用の類も、それほど焦る必要もなく、ゆっくりと頑張ればよいのですなと安心の気付き。
もうひとつは、随分と長いことデートをしていないということで、これは相当切実な事態であります。ぼくは接する人々の精を吸収させて頂くことにより日々を生きているので、たまには女性と一緒に遊園地行ったりお寺巡りとかしないと、心身ともに老け込んでしまいます。野郎どもは臭いし、汚いし、うんことかするでしょ、だから嫌い。デートをするならやはり女性がよろしい。これは焦りの気づき。
最後は、プレステ2はテレビがないとなんの役にも立たないということで、今年に入ってからのこの三ヶ月、ほとんど何の思い出もないのはプレステ2のせいではないだろうかなどといつものごとく自らの非を他へ転嫁して安心し、ならばテレビもないことだし売り払ってしまおうと思い立ち様、近所のファミコンショップへ持ち込んだところ、20000円で売れました。24800円で購入して、ビックポイントも2480円ついたので、2000円ちょいで三ヶ月間遊びまくったことになります。お得!そんでその金をもとに、テレビとDVDプレイヤーを買いました。
もっと気づかなくてはいけないことが他にあるような気もしますが、気づかないほうが幸せなことも。あったりなかったり。
代官山に良い感じの本屋さんがオープンしました。サイトも良い感じ。
主にインテリアやデザイン関係の洋書を扱っているそうです。まだお店には行っていないのでなんとも言えませんが、サイトを見る限り、お店に置く本をとても丁寧に選んでいるように感じます。大型書店と比べて、このような小規模(失礼!)の本屋さんはこだわりが出ていれば出ているほど良いですね。
サイトから書籍を購入することもできるそうですが、全体的に値段が少し高めかも。ちょいと眺めただけでも、Amazon.co.jpで4000円ちょいで買える「Babylon Babies」が8800円、Amazon.co.jpで9000円弱で買えるハーバード・リストの写真集は14800円。うーん。
別にこのお店がぼったくっているわけではなくて、日本で洋書を買おうとするとどうしてもこれぐらいの値段になってしまうみたいで、以前にAmazonで3000円弱で購入したAdrian Tomineの『Summer Blonde』は、ジュンク堂で倍以上の値段がついていたし、同じくAmazonで2000円ちょいで買ったDaniel Clowesの『Like a velvet glove cast in iron』も、5000円近い値段で売っているのを見たことがあります。コミックに五千円はねえ、きついよねえ。あれって何なのでしょう、手数料?ネットが普及していなかった一昔前ならいざ知らず、誰でもオンラインのブックショップで自由に洋書を購入することができる現在では、やたらと高い値段をつけると誰も買わないと思うのですけど。
でもhacknetは素敵なので、皆さん行って本を買ってください。つぶれたら悲しいでしょう。ぼくも今度の日曜日にでも行ってみようと思います。何も買わないけど。

そういえば、何年か前に倉俣史朗氏が好きで編集者になったという素敵な女性と一度だけ飲んだことがあるのですが、あの方はいまいずこへ。
一度は作る気万々だった鉄割本も、そんなものは必要ないという陰の声を聞いたせいですっかりやる気を失ってしまい、だったらもう何もしねーよと半分きれているのですが、それでも本屋なんかに行って手ごろな雑誌なんかを手にすると、これぐらいの本を作ったらいくらぐらいかかるかしらとついつい考えてしまいます。そんな折、ぼくの中で構想していた鉄割本に一番近い構成の雑誌を発見しました。雑誌の名前は『超世代文芸クォリティマガジン[エンタクシー]』。創刊第一号らしく、柳美里、福田和也、坪内祐三、リリー・フランキー責任編集ですって。この癖の強い四人の方々に関しては、人それぞれ好みがあるとは思いますが、内容は読みごたえたっぷり、500円という値段もお手ごろです。最近の雑誌ってすぐに800円とかするじゃないですか、それを考えるとこの値段でこの内容というのは、お得ではないかと思ったり。
そんで読み進めていくと、坪内祐三氏が安原顯氏について書いているエッセイがありました。前にもちょいと書きましたけれど、先程亡くなられた安原氏と坪内氏は、以前にちょっとしたもめごとを起こしておりまして、安原氏が亡くなられた時に坪内氏の反応なんかが野次馬的に気になったりしていたのですが、さすがは坪内さん、死んだからと言って容赦しません、びしばしと安原さんのことを批判しております。「私は死をもってその人を赦すことをしない」「私は氏から『愛の鞭』も『励まし』も受けなかった。私が受けたのは(中略)嫉妬による言いがかりである」「安原氏が他人をいきなり罵倒するのは、自分の駒だと思っていたはずの筆者が、その思い通りに動かなくなった時だ」などなど。うわー、まじぎれだよ!こえー!こえーよ!死んだのだから赦してやればいいじゃん、というのは意志の弱いぼくの意見に過ぎず、このような対象(人、作品)に対する真摯な態度があるからこそ、坪内祐三氏の評論は力強く、読む人に響くのでありましょう。ぼく、多分、坪内祐三氏の著書って全部読んでるよ、ファンですから。あ、最近出た『雑読系』はまだ読んでないか。

でも、もし安原氏ともめごとがなかったら、ここまで氏を非難したかな、とも思います。結局は、けんかを売られたから氏の性格や行為を非難しているのではないかしら、などと。