05年03月20日(日)

 それにしても『ビフォア・サンセット』は本当に良い映画でした。一日三回は思い出します。そういうわけで、サントラを購入しました。これで一日に五回は思い出します。ニーナ・シモンの『Just in time』が収録されていないのにはがっくりきましたが、ジュリー・デルピーの歌声が心に響きます。毎朝、うんこしながら聴いています。

 先日読んだ『アメリカン・ヒーローの系譜』があまりにも面白かったので、同じ人が1976年に書いた『サーカスが来た!アメリカ大衆文化覚書』を購入しました。いやー、これも面白い。本当に面白い。

 特に興味を魅かれたのが、19世紀に登場したダイムノベルという10セントで売られていた大衆小説のこと。当時の有名人や伝説の人物について、あるいは西部の現状などを面白おかしく、さらにかっこよく書いた小説で、クロケットやバッファロー・ビル、カラミティ・ジェーンなどが、実際の人物像を越えてほとんど伝説化した有名人になったのは、これらの作品が普及したことによるものだそうです。20世紀のパルプフィクションやハードボイルドノベルの先駆けみたいなものだと思うのですが、紹介されているダイムノベルが全部面白そうで、ぜひとも読んでみたい。

 ダイムノベルの作者たちは個性の強い人が多いですが、中でも気になったのがネッド・バントラインという人。一ダース以上のペンネームで400編以上のダイム・ノベルを書いたこの人、トム・ソーヤの物語にも、トムの愛読書の作者として登場しています。なにかネタはないかなーと西部を徘徊し、そこで活躍していたウィリアム・コーディー(通称バッファロー・ビル)に目をつけて、彼をモデルにしたダイムノベルを書いて彼を人気者にし、その後は彼を主人公にしてお芝居(サーカス)まで作ってしまい、しまいには自分も出演しています。魅力的。酒を飲みながら禁酒運動の講演を行ったりするかなりふざけた人物であったそうですが、コルト・バントラインスペシャルという拳銃は、この人がワイアット・アープにプレゼントした拳銃なんですって。

 ロバート・アルトマンの『ビッグ・アメリカン』という映画は、ネッド・バントラインとバッファロー・ビル、そしてシッティング・ブルの関係を描いた作品だそうです。観てみたいのですが、どのビデオレンタル屋さんに行っても置いていません。

05年03月19日(土)

 寒いのだか温かいのだかよくわからない中途半端な天気で、直りかけの風邪がまたぶり返しそうです。でも、こういう中途半端な天気は嫌いではありません。のら猫たちも、ひなたぼっこをするべきか、仲間とくっつくべきか迷っている様子。春はもう間近です。

 先日、古本屋さんで武田泰淳・百合子夫妻の娘さんである、武田花さんの写真集を二冊購入しました。一冊は『猫 - The Wild Cat』。もう一冊は『猫・陽のあたる場所』。二冊とも、のら猫の写真集です。どの写真もすごく良い。のら猫の目が、ちゃんとのら猫しています。掲載されているエッセイがまた素敵で、猫のことよりも出会った素敵なおじいちゃんおばあちゃんのことばかりが書かれています。写真集だけではなくて、エッセイ集も読んでみたいと思いました。ちょっと調べたら、『嬉しい街角』に収められているエッセイのタイトルは「足尾銅山とジョニー大倉」。これは読むしかありません。そういえば、『富士日記』にも、まだ小学生だった花さんの文章が載っているのですが、戌井さんはその文章が好きだって言ってたなあ。

 ぼくが年寄りになるころには、町でのら猫を見かけることはなくなるのかしら、とふと思いました。それはちょっと寂しいぞ。

05年03月18日(金)

 最近、武田泰淳・百合子夫妻の『新・東海道五十三次』を読みはじめました。夫婦で車で走る東海道の旅。文章は泰淳さんによるものですが、登場する百合子さんが素敵すぎます。電車の中で読むとにやにやしてしまうので、注意が必要。ところでこの本、「東海道」といっても、東海道以外もかなりあちらこちらに寄り道をしているので、どちらかといえば、東海道周辺旅行、という感じですね。

 去年の秋頃に、自転車で京都から東京までの東海道を走破したのですが、その前後に『東海道中膝栗毛』を読み、さらに広重の五十三次の浮世絵を観ました。それまで、浮世絵というものをちゃんと観たことがなかったのですが、すごくかっこよいのね、浮世絵。武田さんも「とにかく、安政五年九月六日、六十二歳で病没した広重という画家は、えらい男であった」と書いているし、池波正太郎さんも「広重の木版画の色彩こそ、江戸の色彩だ」と絶賛しています。そうだ、広重の浮世絵のことを調べてみようと思っていて、すっかり忘れていた。

 夜、中屋敷で天麩羅とせいろを食べました。蕎麦つゆがしょっぱく感じたのは、まだ体調が戻っていない証拠。


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大根雄
栃木生まれ。
鉄割パソコン担当。
いたりいなかったりする。

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