04年09月01日(水)

 自転車通勤をしていると、帰宅するだけでへっとへとになるわけですが、そのへっとへとの状態の時に一番食べたいのは、肉でも魚でもマクドナルドでもなくて蕎麦なのです。特に最高なのが、せいろにかき揚げ。ここの数週間、夕飯はほとんど蕎麦。ときには日本酒を飲んだりして。蕎麦屋に入るための、替えのTシャツは必携です。

 Surlyデイブさんは『ぼくたちは一日に50キロ走るただのツーリニストさ』と言っているけれど、ぼくもそのような自転車乗りでありたいと思います。一日に50キロ走ると、一ヶ月で1500キロ。結構な距離のように感じますが、走ってみると結構あっという間です。自転車と夕焼けとせいろ蕎麦。これさえあれば、毎日の生活がとても幸せなものになります。

 デイブさんの紹介文からちょい引用

ぼくの一日は16マイル(25.74キロ)の走行から始まり、ミネアポリスとその郊外を蛇行しながら走る。時間は、天候や道路の状態によって、だいたい45分から2時間程度。つまり平日は、1時間半から4時間程度は電話から離れた時間をすごす。家族のことや、友人のこと、そしてサイクリングのあらゆることについて考える時間だ。それは同時に、運動をしたり、全自動中指伸張そりかえりまくりオーバーライド機能(略してAMFEROF)を調整したり、意図せずに走行技術を磨いたりもする、素晴しい時間だ。
04年09月02日(木)

 自転車のサイトを検索していたら、こんなページを発見しました。MacintoshがあやうくBicycleという名前に変わりかけたと言うお話。Macintoshの開発リーダだったアンディ・ハーツフェルドさんが書いています。

Bicycle : www.forklore.org

 アンディさんたち開発チームが「Bicycle」というコードネームを完全シカトしてくれたおかげで、Macintoshという名前が残ったのですね。スティーブ・ジョブズの「bicycles for the mind」論は有名ですが、まさか名前まで「自転車」にしようとしているとは思いませんでした。あぶないあぶない。

数年前に,僕はScientific Americanという雑誌だったと思いますが,人間も含めた地上のさまざまな動物の種の運動の効率の関する研究を読みました。その研究は,A地点からB 地点へ最小限のエネルギーを用いて移動するときに,どの種がいちばん効率がよいか結論を出したのです。結果はコンドルが最高だった。人間は下から数えて3 分の1の所にいて,あまり印象に残っていません。
しかし,人間が自転車を利用した場合をある人が考察しました。その結果,人間はコンドルの倍の効率を見せました。つまり,自転車を発明した時,人間は本来持っている歩くという肉体的な機能を拡大する道具を作り出したと言えるのです。
それゆえ,僕はパーソナルコンピュータと自転車とを比較したいのです。なぜなら,それは人間がうまれながらに持つ精神的なもの,つまり知性の一部を拡大する道具だからです。個人のレベルでの生産性を高めるための特別な関係が,人間とコンピューターとのかかわりの中で生まれるのです。
Two Steves & Apple』Steve Jobsインタビューより

 ちなみに、その昔のマックには、自転車で持ち運びができるように、専用のリュックサックが用意されていたそうです。実際に運んでいた人はいたのかしら。

04年09月05日(日)

 甥と一緒に映画観賞。甥の希望で、『NARUTO〈ナルト〉/大活劇!雪姫忍法帖だってばよ!!』を観に行きました。この種のアニメ映画を観るのは非常に久しぶりで、今も昔も物語の雛型は変わっていないのだなあと感心。

 ところでぼくは、甥と接するときは常にポール・オースターの『ムーンパレス』に登場するビクター伯父さんを意識しています。できれば一緒にいろんな国を発明するゲームをしたり、映画を観に行くのであれば本当は『八十日間世界一周』などを観に行きたいと思ってるのですが、しかしそうなると、甥が二十歳ぐらいになったときに、クラリネットを組みたて途中に椅子に座ったまま死なくてはなりません。それはちょっといやだ。死なない程度に、ビクター伯父さんを見習っていきたい思います。

 しかし『ムーン・パレス』って、本当に良い小説だよなあ。今まで読んできた小説の中で、まちがいなくベスト10に入るぐらい大好きです。

僕は長いあいた浜辺に立って、日の光の最後の一かけらが消え去るのを待った。背後では町がいつもの生活を続け、二十世紀後半のアメリカの、聞き慣れたいろんな音をたてていた。沿岸の曲線を見下ろすと、家々の明りが一つまた一つと灯るのが見えた。やがて、丘の向こうから月が上がった。満月の、焼け石のように丸く黄色い月だった。夜空に上がって良く月に僕はじっと視線を注ぎ、それが闇のなかにみずからの場を見出すまで目を離さなかった。
ポール・オースター『ムーン・パレス』
04年09月08日(水)

 職場の方に、新しい自転車をいただいてしまいました。まさかこんなにすぐにロードバイクに乗ることができるなんて!少しのってみただけでも、自転車の軽さのせいか、めちゃくちゃ乗りやすい。これまで乗ってきたランナバウトは街乗り用に、これからはロードバイクで都内を奔走したいと思います。あー、本当に嬉しい!

 夜、内倉宅で2004年ツール・ド・フランス観賞会をしました。まさかこのぼくがスポーツ観戦をする日がくるなんて。ある意味、記念日です。

 その後、ピストきちがいと内倉くんとウエンズデイ・ナイトライドへ。ピストきちがいは本当のきちがいなので、ぼくがギアを変えると「てめえギア変えてんじゃねえ、ギアに甘えてんじゃねえ」と怒鳴ってぼくのバイクをがんがんに蹴り飛ばしてきます。そろそろ秋ですね、夜に走ると風がとても涼やかで気持ちいい。

04年09月09日(木)

 Yahooで紹介されていた「このミステリーはすごくない!」というサイトが最高に面白い。こんな読書をする人と友だちになりたい。とにかく扱っている書籍のタイトルが最高。「やっつけ仕事で八方ふさがり」なんて、本屋で見掛けたら絶対買うでしょう。「バイク・ガールと野郎ども」も最高、想像がふくらみます。ちなみにペーパバックの表紙はこれ。

 かっけー!!

 他にも、紹介されているミステリは素敵なタイトル満載です。「ど田舎警察のミズ署長はNY帰りのべっぴんサ。」ってなに、これつくってるだろう、と思ってamazonでしらべてみたらちゃんとありました。
俳優強盗と悩める処女」これ、絶対買う。ぼくが今頭の中で想像した「俳優強盗と悩める処女」と、この本とどちらが面白いか、楽しみです。

以下、引用

小生のリストから、作品の中身はともかく、好きなタイトルを選んでみた。
あの血まみれの男は誰だ?」サイモン・ブレット
お楽しみの埋葬」エドマンド・クリスピン
やっつけ仕事で八方ふさがり」ジャネット・イヴァノヴィッチ
「イモジェーヌに不可能なし」シャルル・エクスブライヤ
毒入りタルトを召し上がれ」ギリアン・ロバー
わたしにもできる銀行強盗」ジーン・リューリック
泥棒は哲学で解決する」ローレンス・ブロック
殺人をしてみますか?」ハリイ・オルズガー
太陽の下、三死体」ジャック・サドゥール
マダム・タッソーがお待ちかね」ピーター・ラヴゼイ。

 どれもこれも素敵すぎます。タイトルが素敵と言えば、このサイトでは紹介されていませんが、パーネル・ホールのスタンリー・ヘイスティングズのシリーズのタイトルも、並べてみるとなかなか素敵です。 『探偵になりたい』『犯人にされたくない』『お人好しでもいい』『絞殺魔に会いたい』『依頼人がほしい』『陪審員はつらい』『撃たれると痛い』『俳優は楽じゃない』『脅迫なんか恐くない』『脚本家はしんどい』『裁判はわからない』『罠から逃げたい』『サスペンスは嫌い』『まっすぐな道で寂しい』『ちんこがかたい』『ブスほど彼氏ができるとうるさい』『金を払いたくない』『鳩は嫌い』などなど。ごめんなさい、最後の方は嘘です。

 ところで、ぼくの友人には「すごくないミステリー」のことを、「つまらないミステリー」と混同している人がいますが(映画で言えばエド・ウッド的な)、このサイトでいう「すごくないミステリー」というのは、決して「つまらないミステリー」のことではなくて、清水谷宏氏の言葉を引用すれば、以下のようなミステリーのことです。

小生が出先でちょうど、昼飯時になったとしよう。たいてい目に付いた蕎麦屋かなんかに入り、ざる蕎麦でも注文することになる。一々メニューを見て、なににしようかと迷うこともない。サッサと食べて、サッサと店を出て、仕事をすることになるわけだ。
もちろん、店の名前なんかも、覚えてはいない。
小生にとって、ミステリーなんて、その程度のものだ。

 うーん、かっこいい。

 さっそく、何冊か買ってきたので、これから読みたいと思います。楽しみだ。

04年09月11日(土)

 キャニオニングというものを経験しに、草津へ行ってきました。キャニオニングとは、ウェットスーツを身につけて、川や滝を下っていくというスポーツです。優雅に川に流されながら、ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず、よどみに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし、なんてことでも考えようかと思っていたのですが、いきなり40mの滝をロープをつけて落ちて行くという、なかなかハードなものでした。本当に落ちて行くのですよ。もう死ぬほど楽しくて、滝を落ちたり川に飛びこんだり水に流されたり浮かんだり沈んだり、この歳になって水遊びにこんなに夢中になるなんて!

 午前九時から開始で、あっという間に三時間が過ぎ、キャニオニング終了。一日コースにすればよかったと後悔しながら、車で草津へ。ざるそばを食べておまんじゅうを食べて温泉卵を食べて、熱い温泉に入って体を休め、とても気持ちよくなって東京へ戻ってきました。なんという楽しい休日。

04年09月13日(月)

 維新後に駿府で悠々自適の隠居生活を送っていた徳川最後の将軍慶喜くんが、自転車にはまっていたと何かで読んだのを思い出し、どのような自転車に乗っていたのか気になったので調べてみたところ、「日本自転車史研究会」なるサイトを発見しました。文明開化の後に日本に入ってきた自転車の歴史やらギャラリーやらを見ることができて、とても面白い。

 このサイト内で記事を書いている大津氏は、慶喜くんが乗っていたのはアメリカ製のオーディナリー型自転車ではないかと推測しています。世界で初めて自転車世界一周を行ったアメリカ人のトーマス・スティーブンスが東海道を走るのを、当時静岡に住んでいた慶喜くんが観ていたはず、というのがその根拠なのですが、うーん、19世紀の終りに日本の東海道をオーディナリ自転車で走るアメリカ人、そしてそれを観ている没落した最後の将軍。なんだか素敵な情景だ。

 ちなみに、トーマス君とその自転車はこんなかんじ。この自転車、現代から見ると形が少々滑稽に見えるので、あまり速度が出ないように思えますが、実はなかなか早いのです。あるレースでは、このオーディナリ自転車で1.6キロを2分31秒で走ったという記録もあるそうです。1時間で約38キロ。ぼくの自転車よりもぜんぜん早い。

 オーディナリ自転車、通称だるま自転車で世界一周をしてしまったトーマス君は、その時にHarper's Magazineに送った旅行の記録をもとに『Around the World on a Bicycle』という旅行記を出版しています。テキストの前半部はProject Gutenbergでも公開もされているのですが、USのAmazonで中身を少しみてみたら、挿絵が素晴らし過ぎて、ぜひとも本を手に入れたくなりました。裏表紙なんて、だるま自転車に乗ったトーマスくんが騎馬隊に教われているのですよ、これは一冊手元に置いておくしかないでしょう。

 それにしても、今の自転車とは比較にならないほど乗り心地が悪かったであろうダルマ自転車で世界一周をしてしまったスティーブンス君のことを思うと、サドルがどうだとか、ハンドルがどうだとか、フレームの素材がどうだとか、自転車の重さがどうだとか、あの女をどうやって落とそうだとか、ぐだぐだ言っている自分が、ただの甘えん坊のように感じてしまいます。とりあえず、自転車で世界一周をするまでは、自転車に関して偉そうなことを言うのは控えましょう。何に乗るか、ではなく、どう乗るか、にこだわる自転車乗りでありたいと思います。


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大根雄
栃木生まれ。
鉄割パソコン担当。
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